
厳しい暑さが続き、農作物の生育に影響が出る中、コメの養分を吸って品質の低下を招く害虫のカメムシが、各地で大量に発生しています。繁殖が活発になる気温の高い日が続いたことが原因とみられ、千葉県や埼玉県など、全国の14の県は「注意報」を出して農家に対策を呼びかけています。このうち千葉県内では、千葉県農林総合研究センターが7月中旬に、31か所の田んぼで「斑点米カメムシ類」の生息数の調査を行ったところ、1か所当たりで見つかった数は平年のおよそ2倍に上り、少なくとも、この10年で最も多くなりました
カメムシが大量に発生している理由について、カメムシの生態に詳しい農研機構東北農業研究センターの田渕研上級研究員は、ことしの春から夏にかけて気温の高い日が続いたことなどが影響していると分析しています。
田渕上級研究員によりますと、春から夏にかけて繁殖を繰り返して数を増やす「斑点米カメムシ類」は、高温多湿の環境を好むため、気温が高くなるほど繁殖と成長が盛んになります。
ことしは初夏から気温の高い日が続いて活動が活発だった上、近年は冬の気温も十分に下がらないことから多くの個体が冬を越したため、大量に発生したとみられるということです。
害虫のカメムシは、餌となるイネ科の植物の生育が進むにつれて数が増えていくことから、対策としては、稲の穂が出始める1週間前までに田んぼの周辺で雑草が伸びないよう草刈りや除草剤の散布を行い、稲がある程度成長したあとは殺虫剤を使うことも効果的だということです。
田渕上級研究員は「地球温暖化などによる気温の上昇で、近年は農業への被害が出やすい環境になってしまっている。自治体からの情報も参考に被害を予防してほしい」としています。